都市が目覚める前の一時間に肖像と語りを残す。夜勤と早朝業務のあいだにある「誰のものでもない時間」を観察する。
Published 1 September 2024

京都の中心部でも、午前四時半はまだ夜の側にある。店のシャッターは閉まり、観光客の足音もない。しかし完全な沈黙ではない。配送車のエンジン、寺の裏手で掃除を始める音、夜勤明けの会話——都市の別のリズムが聞こえる。
『夜明け前の京都』では、すでに起きて働いている人々に同意を得たうえで、動作と動作のあいだの表情を記録した。狙いは「不意打ちの決定的瞬間」ではなく、同じ目立たない時間に到着し、同じリズムを共有することだった。
早朝の労働は見えにくい。だからこそ、記録の仕方には慎重さが要る。私たちは利用目的を事前に説明し、公開範囲を本人と確認した。肖像は「象徴」ではなく、個別の生活の断片として扱う。
